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2012年7月15日日曜日

色々思うこと。



あれは2007年春頃だったかな。コンサートのために来日してたフランス人音楽家達を
渋谷のレストランへ連れていくために乗っていたタクシーで、隣に座っていた
チェリストRが、煌々としたネオンで覆われた街を見ながら私に質問しました。

「ねー、アキコ。この膨大な電気はどこから来てるの?原発?日本の原子力発電の割合ってどの位なの?」

「うーん、良く知らないや」


終了。

本当に恥ずかしながら、電気の事、原発の事、全くと言って知らなかったのです。無知。
そんな自分にちっぽけな疑問も感じなかった。



それから4年が経ち、3.11が来た。
自然の残酷な仕打ちに言葉も無くし、ただただ遠くから母国の事を思う日々。
そして原発が爆発した・・。

今思えば、日々の「つぶやき」用にちょっと足を踏み入れてみようと始めた
Twitterが、あの震災後、もの凄い早さで様々な情報を得るツールと変化して
これまで考えもしなかった問題を自分の目の前にドーーンと突きつけられたような
気がします。


震災で何も被害を受けてないにもかかわらず、あの衝撃はやはり心に突き刺さり
直後のコンサートでは最大限の祈りを込めて演奏し、その後NYをダンナさんの
コンサートを聴く目的で訪れ、セントラルパークで息子と散歩しながら
9.11の事をあらためて考えたりしてました。
(この辺で以前のブログの投稿が途絶えたと思います)



そしてぽっかりと時間が出来た約2ヶ月の間、毎晩毎晩何かに取り憑かれたかのように
原発、放射能、チェルノブイリ事故etc.についてのビデオを見て、本を読み
Twitterで日本の状況を追いながら(デマが多いと言われてますが、1年以上経ってみて
そのほとんどの情報がTVや新聞で伝えられていた事よりも正確なものだと分かっています)実態を知れば知るほど、様々な思いがグルグルと自分の中に渦巻いて、
人間ってなんて愚かなんだろうか、と勝手に絶望して、やる気を無くし、
本当にどんよりした日々を送っていました。




東京電力はこれまでの事故後の対応を見ていて、言うまでもなく最悪最低だし
日本の政府がやっている事は明らかに間違っていて、大手マスコミだって
正確な情報を伝えない。
いわゆる日本の学校時代は、先生の言う事を疑う事もなく「ハイハイ」と聞く
「優等生」タイプだった私にとってはそれが一番ショックだったかな。
まさか、自分の国で、と。


今はインターネットという便利なものがあり(時にそれが弊害ともなるけれど)
家に居ながら自分一人で膨大な情報を掴む事が可能です。
もちろんその膨大な中から正しいものを選び取るための知識は必要で
その為には勉強しなくてはならないけれど。


「被曝」なんて言葉を自分が使う日が来るとは想像だにしなかったけれど
色々と勉強していくうちに、やはり妊婦や赤ちゃん、幼児は細心の注意を払うべきだと
いう結論に自分の中で達して、自分で得た情報をSNS(Facebook、mixiなど)で
発信する事を始めました。直接話せなくても、これを見て何か思ってくれたら、と。
福島、東北はもちろん、東京には自分も10年近く住んでたし共に勉強した仲間が
沢山住んでいて。しかも私と同じ母親、もしくは母親になろうとしている友人も
少なからず居る。特に彼らには内部被曝は出来るだけ避けて欲しい。
私は海外に住んでいるし、はっきりいってただのおせっかいかもしれないけれど
知ってしまったからにはどうしても彼らに伝えたかった。



国内全ての原発が停止した5月5日。
フランスで鯉のぼりを眺めながら日本がどういう方向に舵取りするのか
少しだけ期待を旨に抱いたりしてました。

それからたった1ヶ月ちょっとで政府は大飯原発の再稼働決定。
福島の事故後、それも早い段階で世界数カ国が原発を廃止する方向に
舵取りをしたのに対し、日本は全く逆の方向へ。はっきりいって失望しました。
夏の電力不足に備えて、との事らしいけれど
再稼働した直後に火力発電8基を停止したとか。嘘つき。
今も福島第一原発の事故は、収束の目処すら立っていないのに・・。



原子力発電というのは停止すればおしまい、という訳ではなく
その後の使用済み核燃料の処理に膨大な時間がかかります。
放射性物質の毒性が消えるまで数百万年・・。
これを遠い先の世代の(仮に原子力が消滅したとして、もうその存在すら
知らないような)人間が管理出来るのか。
完全に見切り発車をしてしまったのですよね。
日本のみならず世界中に汚染地帯がある。それによって苦しんでいる人たちが居る。
こんなもの続けて良いはずがありません。



私の住んでいるフランスは実に電力の8割が原子力発電に頼っている原発大国。
日本と違って地震の起きる可能性はとても低いですが。
過去には小さな事故は沢山起きていて、やはりそれは全世界共通で
国民には隠蔽されてきたらしい。(チェルノブイリ事故の発生後は、政府は
「放射能雲は国境沿いで止まった」と言ったとか。。ありえない。)

ただこちらではTV局が自国の原発に対する疑問を追う番組を制作したり
公の場でこの問題を議論する場が設けられています。
大手メディアが本来の役割を全く果たしていない日本と比べたらかなりマシかと。
とにかく資源の問題、福島事故後の世界の流れを考えても、いつまでもこのままの方法で
続けられるとは思いません。オランド新大統領も原発を減らす方向を示唆しています。
自分が現在住んで子育てしている国ですし、こちらも注意深く見守っていきたいと
思います。



日本には世界に誇れる素晴らしい技術力があるはず。
それを、原発ではないエネルギー政策に全力で注げば
必ず次への糸口が見つかると信じています。
原発によって膨大な利益を得ているほんの一握りの人間達が
これまでのように猛烈に阻止しようとするでしょうけど、
さすがに国民もこの国の異常事態に気付き始めてるでしょうし
一人一人が強く望めば、世界は変えられるはず。
そろそろ「無関心」から脱してみませんか。



私自身、一児の母でもあります。
今回のようなとんでもない事故が起こってしまった場合に
何の罪もない、選択肢もない子供たちが一番にその身体に影響を受けてしまう
人の手には負えない恐ろしいものをばらまく原発は要りません。



最後に今も毎日福島第一原発内で作業をして下さってる方々に感謝。
そして本当にお願いだから、もうこれ以上大きな地震が起こりませんように。



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